
Appleが提案するTLS証明書の有効期間短縮についてのホワイトペーパー
1. はじめに
インターネット上の通信を安全に保つために「TLS証明書」が使われています。これは、ウェブサイトとユーザーの間の情報が盗まれたり、改ざんされたりしないように守る“鍵”のようなものです。
現在、このTLS証明書の有効期間(使える期間)を、Appleが中心となって大幅に短くしていこうという動きが進んでいます。このホワイトペーパーでは、その背景や影響、対策について初心者にもわかるように説明します。
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2. 何が変わるの?
現在の状況:
TLS証明書は通常、**最大398日(約1年)**使うことができます。
変更後のスケジュール:
Appleを中心に、業界では次のような段階的な変更が予定されています:
• 2026年3月15日以降:最大200日まで
• 2027年3月15日以降:最大100日まで
• 2029年3月15日以降:最大47日まで(約1.5カ月)
つまり、証明書の期限がとても短くなるということです。
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3. なぜ短くするの?
理由は主に3つあります:
1. セキュリティを高めるため
• 万が一、証明書が悪意ある人に盗まれても、有効期限が短ければ影響を小さくできます。
2. 情報を新しく保つため
• 証明書には企業名やドメイン名などの情報が入っています。短期間で更新することで、常に正しい情報が保たれます。
3. 自動更新を当たり前にするため
• 短くなれば、手動での更新が現実的でなくなり、自動更新の仕組みを導入せざるを得なくなります。
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4. どうすればいいの?(企業や開発者が取るべき行動)
短期間での証明書更新に対応するには、次のような準備が必要です:
• 証明書の自動更新システムを導入する
- たとえば「Let's Encrypt」などでは、ACME(アクミー)という仕組みで自動更新ができます。
• 使用中の証明書管理方法を見直す
- 手動での更新では管理ミスが起きやすく、サイトが一時停止するなどのトラブルにつながります。
• 証明書の有効期限切れの監視体制を強化する
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5. 業界の反応は?
Apple、Google、Microsoft、Mozillaなどの主要なブラウザ会社がこの方針に賛同しており、今後はこれが新しい標準となる見込みです。証明書を発行する企業(CA)もこの方針に従い、徐々に対応していきます。
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6. まとめ
• Appleを中心に、TLS証明書の有効期間が将来的に47日まで短縮される予定です。
• セキュリティ強化や情報の最新性を保つための動きであり、証明書の自動更新が重要なテーマになります。
• 早めに自社の証明書管理体制を見直し、自動更新を含めた運用に移行することが求められます。
初心者の方も、これを機にインターネットの安全を守る「証明書」の仕組みに興味を持ち、適切な対策をとっていきましょう。
記載者:片山 昌樹(セキュリティ&マネージド事業部)