
Microsoft TeamsやOneDriveが危ない? 新たな「キャッシュスモグリング」攻撃とは
最近、セキュリティ研究者たちが注目している新しいサイバー攻撃の手法があります。その名も 「ブラウザ・キャッシュ・スモグリング」。この攻撃は、ブラウザのキャッシュ機能を悪用し、マルウェア(悪意あるプログラム)をあたかも「無害なファイル」のように見せかけて、パソコンに忍び込ませるという非常に巧妙なものです。
どうやって攻撃が行われるの?
1. 偽装されたファイルを仕込む
• 攻撃者は、画像のように見せかけたマルウェア(DLLファイル)をWebページに埋め込みます。
• たとえば <img src="payload.dll"> のようにHTMLで書かれていても、ブラウザはそれを普通の画像と誤認して保存してしまいます。
2. ブラウザが誤ってキャッシュ
• ブラウザは、Webの読み込みを早くするためにファイルを一時的に保存(キャッシュ)します。
• 攻撃者はここを悪用して、本当は危険なファイルをキャッシュに保存させるのです。
3. ユーザーの操作で感染
• ユーザーが特定のPowerShellコマンドを実行するよう誘導されることで、キャッシュにあったマルウェアがMicrosoft TeamsやOneDriveのフォルダにコピーされ、実行されてしまいます。
DLLプロキシングでばれにくくする
攻撃者は、正規のDLLファイル(Windowsが使う共通ライブラリ)を偽装して、「一見普通に動いているように見えるけど実は裏で悪さしている」という状態を作り出します。
たとえば、Teamsのフォルダに「VERSION.dll」という偽ファイルを入れておけば:
• 正規の機能も動く
• でも裏でマルウェアも動く
というダブルの効果があります。だから気づきにくいのです。
なぜTeamsやOneDriveが狙われるの?
• 管理者権限がなくても攻撃できる
• ネット接続が多く、不審な通信が目立ちにくい
• 多くの企業が使っていて、効果が高い
という理由から、攻撃者にとって「おいしい標的」になってしまっているのです。
私たちができる対策
• 知らないリンクやファイルは開かない
• ソフトウェアはこまめにアップデート
• 信頼できるセキュリティソフトを導入
• PowerShellなどを安易に使わない
今後も新たな攻撃手法は次々と生まれます。技術的な仕組みを知らなくても、「怪しい操作はしない」「正規の更新を怠らない」ことが、自分のPCやデータを守る第一歩です。
記載者:片山 昌樹(セキュリティ&マネージド事業部)